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相馬 康孝; 小松 篤史; 上野 文義
Corrosion, 78(6), p.503 - 515, 2022/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)高温水中におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)を理解するためにはすき間部における溶液の性質を、電位(ECP)の関数として理解することが重要である。本研究ではSUS316Lステンレス鋼すき間内の溶液導電率()の測定を288C、8MPa、主要なアニオンとして約10ppbのClを含有する水中で行った。のその場測定は、すき間幅15mおよび奥行き23mmの直方体すき間において、異なるすき間深さ位置に設置した電気化学センサーにより実施した。ECPを-0.49V (vs. standard hydrogen electrode at 288C, 8MPa)から-0.12Vに増加させたところ、は開口部から21mmの距離において12Scmから160Scmまで上昇した。の上昇は約0.15Vで最大値(約300Scm)を示したのちは電位上昇と共に減少する傾向を示した。本現象は電気化学反応を考慮した有限要素法解析により定量的に再現することができた。すなわち、比較的低電位ではClが主要なすき間内への電気泳動種となり、ECP上昇によりは単調に増加し、同時にpHも低下すると考えらる。一方、ECPが0V近傍を超えると過不働態溶解によって発生したHCrOもすき間内へ十分な量が泳動する。本化学種はClとは異なり酸化性が強いことから、金属カチオンと反応してそれを酸化沈殿させ、導電率を下げるものと推測された。
青山 高士; 菅原 優*; 武藤 泉*; 原 信義*
Journal of the Electrochemical Society, 166(10), p.C250 - C260, 2019/01
被引用回数:5 パーセンタイル:17.1(Electrochemistry)その場観察機能を備えたすき間腐食試験用フローセル中でSOを含む1MNaCl溶液と、NOを含む1MNaCl溶液を用いてすき間腐食試験を行った。そして、すき間腐食の進展挙動の観察とすき間内溶液分析によって、NOのすき間腐食抑制機構を解析した。その結果NOによるすき間腐食の再不働態化は、すき間開口部での腐食の成長が停止した後に、すき間内部に向かって成長する腐食が停止する二段階の現象であり、前者はNOによる活性溶解の軽減効果、後者はNH生成に伴うpH増加によるものであることが明らかとなった。
相馬 康孝; 上野 文義
材料と環境, 67(5), p.222 - 228, 2018/05
溶存酸素濃度約32ppm、温度288Cの高純度水中に100h浸漬したSUS316Lステンレス鋼のすき間内における局部腐食現象を詳細に分析した。テーパーのついたすき間内において、すき間先端部側(すき間幅十数m以下)の領域において、粒界、および介在物を起点とした局部腐食が発生した。前者は、粒界に沿って発生し、粒内にも腐食が進行した。粒内では腐食がまだら状に進行し、腐食生成物であるFeCrOに相当する組成の酸化物と残存金属相が混在する組織を示した。後者は、CaとSを含む介在物を中心として円形に発生し、腐食生成物としてFeCrOに相当する組成の酸化物が生成した。これらの局部腐食現象はすき間先端側の酸素枯渇域に集中して発生し、より開口側に近い酸素到達域では発生しなかった。局部腐食発生域と非発生域の分布から、すき間内におけるアノードとカソードの分離が示唆された。
相馬 康孝; 加藤 千明; 上野 文義
no journal, ,
軽水炉環境におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)は重要な経年劣化事象の一つであると認識されている。多くの研究者がすき間形状となるSCCの先端はバルクとは異なる水溶液環境で腐食していることを指摘している。しかしすき間内の環境を直接その場観察した例は極めて少ない。そこで本研究では人工すき間を形成し、そこに小型の電気化学センサーを挿入することで高温高圧水中におけるすき間内の局部環境の測定を行った。実験としては、ステンレス鋼板2枚ですき間を構成し、片方の板に高純度アルミナで絶縁した約300mの電極をロウ付けしてセンサーとした。センサー付きのすき間試験片を温度288C、溶存酸素濃度32ppm、入口導電率0.06S/cmの水中に浸漬し、インピーダンス法より、溶液導電率を測定した。実験の結果、すき間のギャップが60mの場合、溶液導電率はバルク水と同等であったが、10mの場合、バルク水よりも100倍以上の導電率が計測された。この導電率はpH約3に相当し、288C水の中性値である5.65と比較すると、すき間内ではギャップが十分小さい場合、局部的な酸性化が起きることを示した。
相馬 康孝
no journal, ,
浜岡原子力発電所5号機で発生した原子炉等への海水混入事象における炉内設備のすき間腐食健全性評価に、すき間の幅(g)と奥行き(d)の大きさからすき間腐食の発生しやすさを表示する図(g-d腐食図)が有効に利用されている。本研究では、実機構造に多い一方で、既存のデータの少ない0.1mm以下の狭小なすき間において腐食挙動を調べるとともに、これまで不明であった、すき間内環境を分析することで、より高度なすき間腐食の発生しやすさの判断基準(クライテリア)の実現を目指した。
相馬 康孝; 上野 文義; 稲垣 博光*
no journal, ,
沸騰水型軽水炉環境に代表される溶存酸素を含む高温高圧高純度水中においては、低炭素ステンレス鋼に局部腐食が発生する。これまでに、すき間腐食に及ぼすすき間形状因子の研究は行われてきたが、すき間内環境因子に関しては不明な点が多い。本研究ではすき間内の酸化皮膜と導電率を測定し、すき間形状因子で整理することにより、すき間内環境と形状因子との関係把握を行った。
相馬 康孝; 小松 篤史; 加藤 千明
no journal, ,
高温水中におけるステンレス鋼すき間内溶液導電率Kを知ることは、すき間腐食の発生メカニズムや応力腐食割れの先端部における溶解挙動を知る上で重要である。本研究では、温度288C、圧力8MPaにおいて溶存酸素濃度を変化させた場合のKの応答挙動に及ぼす、バルク水中の微量塩化物イオン、およびステンレス鋼材中に含まれる不純物(CaS介在物の有無, リン, 硫黄含有量)の影響を調べた。CaS介在物を硝酸で除去した酸洗材、および鋼中リン, 硫黄濃度を低減したSUS316EHP鋼ですき間を形成してKを測定し、一般的なSUS316Lステンレス鋼(標準材)のそれと挙動を比較したところ、これらには顕著な差がないことが分かった。このことから、鋼材から溶出する不純物としてのリン, 硫黄はKの変化に大きな寄与を与えないことが分かった。バルク水に50ppbのClを添加した環境で標準材のKの変化を測定したところ、Kの最大値は未添加の場合の2倍以上の値になった。このことから、微量塩化物はすき間の内部に泳動濃縮することが分かった。
相馬 康孝
no journal, ,
令和2年度腐食防食学会進歩賞受賞記念講演を行う。本研究は、高温高純度水中におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)メカニズム解明のため、(i)288Cの高温水中でSUS316Lステンレス鋼がすき間部における局部腐食感受性を有するか明らかとすること、および(ii)すき間内溶液の導電率を測定する新たな手法として微小電極腐食センサーを開発・使用することで、すき間内環境と局部腐食の関連性を明らかとすることを目的とした。研究の結果、SUS316L鋼はSCCき裂を模したすき間部で粒界腐食感受性を有することが分かった。このようなすき間に、開発したセンサーを設置して電気化学測定を行った結果、粒界腐食現象とすき間内に形成される腐食性の高い水溶液環境との関連性を明らかにした。このような手法や解析結果は、SCCを初めとした局部的腐食損傷現象の機構解明へ有効であり、原子炉の安全性向上に資するものと期待される。
青山 高士; 加藤 千明
no journal, ,
すき間内部のその場観察が可能なフローセルを用いてSUS 316Lステンレス鋼のすき間腐食試験を行った。すき間内を0.1M NaClで満たし、すき間外溶液には0.1M NaCl及び0.1M NaCl-10mM[Cu(EDTA)]Naを用いた。その結果、0.1M NaCl-10mM [Cu(EDTA)]Na中では0.1M NaCl中よりもすき間腐食発生までに要する時間が長くなることが明らかとなった。また、すき間腐食の進展挙動にも違いがみられた。以上のことから、Cu(EDTA)によってすき間腐食の発生及び進展は抑制されたと考えられる。
相馬 康孝; 小松 篤史; 加藤 千明
no journal, ,
クラック内部に代表されるすき間構造の内部環境を知ることは高温水中におけるステンレス鋼の応力腐食割れのメカニズム解明に重要である。これまでにもすき間内環境の分析例および優れたレビューが発表されているが、すき間内環境をその場測定した例は少ない。そこで本研究ではすき間内環境としてすき間内溶液導電率()を高温水中でin-situ測定し、重要な環境変数である電位(ECP)を変化させ、-ECPの関係を調べた。